税務トピックス
相続税・贈与税
相続対策
一次相続・二次相続の財産の流れ
ご夫婦の相続のうち、最初の相続を「一次相続」、その後の配偶者の相続を「二次相続」といいます。
夫婦のどちらが先に亡くなるかによって、相続人の範囲と法定相続分が変わるため、通常の相続の場合と財産の流れが大きく異なることがあります。
今回のコラムでは、子どものいない夫婦の一次相続・二次相続における財産の流れをみていきたいと思います。
子どものいない夫婦の一次相続・二次相続の財産の流れ
ご夫婦の間に子どもがいる場合、相続の流れは単純です。
一次相続で夫(妻)が亡くなった場合の法定相続人は「配偶者と子ども」、二次相続で残された配偶者が亡くなった場合の法定相続人は「子ども」のみとなります。
このように、子どものいる夫婦に相続が発生した場合、最終的には子どもに財産が承継されていく流れとなります。
一方、子どものいない夫婦に相続が発生した場合、父母がすでに亡くなっていることが多いため、一次相続で夫(妻)が亡くなった場合の法定相続人は「配偶者と兄弟姉妹」、二次相続で残された配偶者が亡くなった場合の法定相続人は「兄弟姉妹」となるのが一般的です。
法定相続人に兄弟姉妹がいる場合、相続財産の流れが複雑になるため、事例を交えて説明したいと思います。
【話の前提】
財産の流れをシンプルにするため、妻Bの財産を0円と仮定します。
・夫Aの財産:1億円
・妻Bの財産: なし
【夫Aが先に死亡した場合】
①一次相続
夫Aが先に亡くなった場合の相続人は、妻B、夫Aの弟・妹の3人です。
それぞれの法定相続分は、下記表のとおりです。
遺言がなく、法定相続分で遺産分割する場合、夫Aの財産1億円を妻Bが7,500万円、夫Aの弟と妹がそれぞれ1,250万円ずつ相続することになります。
②二次相続
では、次に妻Bが亡くなった場合はどうなるのでしょうか?
妻Bには、配偶者、子、直系尊属がいないことから、相続人は妻Bの兄だけとなります。
したがって、妻Bの財産は全て妻Bの兄が相続することになるのです。
このように、一次相続で妻Bが夫Aから相続した財産が、二次相続の際には全部妻の血族に渡ることになります。
先祖代々の財産を相続している場合
上記のようなケースの場合、2回の相続を経て、夫の財産が妻側の義理の兄弟姉妹に渡ることになります。
したがって、夫が先祖代々の土地などを相続している場合には、遺言の作成を検討しておく余地があると考えられます。
遺言を作成しておけば、配偶者の遺留分1/2を考慮しても、夫側の血族に1/2の財産を残すことが可能となります。
なお、兄弟姉妹には遺留分がないため、「配偶者に全ての財産を相続させる」内容の遺言を作成した場合には、将来的には、夫の財産は全て妻の血族に渡ることになりますので注意が必要です。
法定相続人別の法定相続割合と遺留分割合